AI vs. 弁理士?

先日、商標に関するお題20問中、最終的な判断が正解するか否かをAIと弁理士とで競うイベントがありました。まあ、イベントとしては面白いかもしれません。

 

ただ、誤解してほしくないのは、

 

(1)審査なりの判断は、不変ではなく、時代背景や市場の現状により判断が変わる

(2)今回の学習データには、残念ながらその部分のデータが欠落

(3)出場した弁理士もまた、そのような情報を反映させることなく判断しているということ

という特殊事情があったということ。あくまでも、AIの可能性を検討するにはいいお題でしょうが、AIが弁理士に追いついたとか、どっちが優れているとか、そういう判断するにはナンセンスな前提条件だったということです。

AIは、学習データの良し悪しがすべて。これがダメならそのデータに基づいて学習された学習済みエンジンもダメです。そして、良いと思われるデータを選別する段階で人の恣意が入り込みますから、公平な判断基準を有する学習済みエンジンを生成することはできません。

しかも、確率での出力ですから、特異点には使えない。従来業務においても、80%は普通の判断で問題のない案件。弁理士の優劣は残り20%の特殊案件に対する対応と言っても過言ではないでしょう。

とすると、AIを用いた判断などとうたうのは10年早いとも言えますよね。特殊な案件については、いまだに無力ですから。(理由?学習するデータが量も質も足りないから。それだけです。)